ゆっくりと目を開けると、目の前には満面の笑みを見せるゴン太の顔。

ゆっくりと首を動かすと、やっぱりそこは観覧車の中じゃなくて、見慣れた私の部屋。


あーあ……やっぱり夢ですか……。


あともう少しでキス……できたのに……


「残念……」


「何が“残念”なの?」


「――!」



いつの間にか、ゴン太の散歩から帰ってきた颯太が立っていた。

いやー!!

恥ずかしい!

とてつもなく恥ずかしい!


例え夢であっても、あともう少しでキス、するとこだったんだよ!


「何が“残念”だったの?」

「ななな何でもない!」


顔が赤くなっているのがわかる。



颯太に言えるわけないじゃない。

“夢の中でキスしようとしてた”なんて。

絶対に言えない!




「怪しい。そんな真っ赤な顔して、必死に隠そうとするとこなんて、気になる!」


「ほんとに何でもないの!」



私は颯太から隠れるように布団を被った。

……けど、あっという間に剥ぎ取られた。


「さあ、話してごらん?」


いたずらを見つけた大人のような顔をして、私を見下ろしている。

観念……する……?