――翌朝


「うー……頭痛い……」

「そりゃそうでしょ。あれだけ飲めば。」

「……そんなに飲んだ…?」

「かなりね。はい、お水。」

差し出した水を一気飲み。


「…今日……無理……」

「はいはい。ゴン太の散歩ね。僕が行きますよ。」



案の定、朱里ちゃんは二日酔い。

まだお酒が抜けきらないのか、ほんのり赤い顔をしてる。


「ごめんね……よろしく……」


それだけ言うと、また目を閉じた。


「まったく……」


でも、目を閉じて横になっている朱里ちゃんは、とても穏やかな顔をしている。

「じゃあ、いってきます」


僕はゴン太を連れて玄関を開けた。


「いってらっしゃい……颯太……」


――!

微かに聞こえた朱里ちゃんの声が、“颯太”って言った!

振り返ると、頭まですっぽりと布団を被る朱里ちゃんが目に入る。


「今の……?」


聞き間違えなんかじゃないよね?!


顔が赤く火照る。

口がパクパクなって、声が出ない。

そんな僕に追い討ちをかけるように


「朱里って呼んでほしいのに……」


って聞こえた。




昨日の呟きは、寝てると思ったから言えたのに……


聞いてたんだー!!