すべてを話して安心したのか、それからの朱里ちゃんはすごかった。

何杯もビールを飲み、テーブルに広がる料理を次々に食べ、何が楽しいのか、本当によく笑った。

もちろん僕も付き合わされた。

ジョッキが空になる度、

「飲むでしょ?って言うか、飲め!」

の繰り返し。

まあ、ビールくらいならどれだけ飲んでも酔わないから平気だけど。僕はね。


だけど、目の前の朱里ちゃんは……


「完全な酔っぱらいだね…」


泣き疲れたところに、ビールを飲み続けたせいで、目は据わって、呂律も回ってない。

トイレに立てばフラフラしてるし……


店の大将も

「嬢ちゃんのこんな姿、初めてだよ」

って苦笑いを浮かべてる。

それでも飲むことを止めない。




「あたしゃね、よってないよ」


「いやいや!それは酔ってる人の常套句だから!」



赤い顔をして、目を潤ませて僕を見つめる。

な、何?

何かのこ、告白?




「…ぎ、ぎぼぢわるい……」


はー……そうきますか……


「トイレ行っておいで。」



本当にいろんな顔を持ってる。朱里ちゃんは……

そこが可愛いなって思うんだけど。

…可愛いけど、今日は飲みすぎ!


「…まったく……」


店に入ってから、どれくらいの時間が過ぎたのか、客のいなかった店内はもう満席。

そろそろ連れて帰らないと…と店内を見回すと、どうも怪しい奴がいる!