いや、でも・・・・・なんで翔に? そう、その痴漢の手は翔のお尻に当てられていたのだった。 あたしはというと、乗った時に翔が壁際にしてくれてかばうようにしているおかげで、痴漢はおろか人に押されることもない。 うーん、どうするべきか。 しかし、当の本人は立っているというのにウトウトしている。 これは、あたしが払うべきか否か。 迷うこと数分、結局あたし達が降りる駅に着いてしまった。 ドアが開くとともに出ていく痴漢。 「あ、ちょ、」 声を掛ける間もなく人混みに紛れて見失ってしまった。