○○彼氏。【完】


したことがないってわけではない。


でも、あたしからするのは一度もなかった。


それに、和希のほうからしたとしても、あのキスは恥ずかしすぎるものだった。


「い、いや、それはさすがに・・・・・」


「仲直り、したくないの?」


黒い笑みを浮かべたまま、首を傾げて聞いてくる和希。


「いや、その、そういうわけじゃないんだけれども・・・・・」


そう言って目をそらすと、和希の両腕がスっと壁から離れた。


「じゃ、しょうがないね」


くるっと踵を返し、ドアに向かって歩き出す和希。


「え、あ、ちょっと待って!!する!!するから!!」


急いで制服を掴みそう言うあたしに、和希は振り返る。


「うん、じゃあ、はい」


和希は近くにあった椅子を引き、それに腰掛けあたしを見上げる。