こんな性格でもあたしが秋斗を好きになったきっかけは、まだ秋斗と同じクラスじゃなかった頃。
梅雨の時期にたまたま傘を忘れたあたしは、一人、下駄箱で土砂降りの雨が降る外を呆然と眺めていた。
「・・・・・なんで、こんな時に限って傘忘れるのよあたし。天気もなんで今朝は少し晴れてたのに今土砂降りなのよ」
と、一人で文句を言いながら雨が少しでも止むのを待った。
あたしの家は学校から徒歩10分程度。
絶対に帰れないというわけでもなかったが、びっしょりになって家に帰るのは嫌だった。
そして、待ち続けて30分。
一向に止む気配のない雨に、しょうがない、と思い土砂降りの雨の中に一歩踏み出そうとしたときだった。
「傘、持ってないのか?」
後ろから聞こえた声に振り返ると、そこには真っ黒な黒髪にいかにも真面目そうなメガネを掛け、きっちりと制服を着こなす男子が立っていた。

