「で、これ」
と、颯輝はあたしの左手を取った。
「できればここにつけてほしいんデスガ」
ちょんちょん、と左手の薬指を指し、少し遠慮がちに言った。
「っ、ここに、つけていいの?」
再び緩む涙腺を堪えながらあたしは聞いた。
「うん。ていうかつけて。予約の印だから」
それって・・・・・
「何年後になるかわからないけど、俺は結婚するつもりで付き合ってるよ」
颯輝のその言葉に、あたしの涙腺は完全に崩壊した。
「さ、つき、ごめ・・・・ねっ」
疑ったりして、ごめん。
泣きじゃくるあたしをなだめるように、颯輝はあたしを抱き寄せた。

