少し落ち着いた頃、カバンからケータイを取り出してみると、颯輝から数件電話とメールが来ていた。
メールを開いてみると、『今どこ?』『お願いだから電話出て。』など、心配した内容のメールばかりだった。
しかしそれには返信せず、あたしはケータイの電源を落とした。
ちょうどその時ドアを誰かがノックしたと思うと、叶汰にぃの声が聞こえた。
「大丈夫?ご飯、食べられるか?」
少し遠慮がちに聞いて、さっき無視したことに対して罪悪感が湧いてきた。
「・・・・・うん。今から行く」
そう言ってドアから少し顔を覗かすと、叶汰にぃは安心したように笑った。

