○○彼氏。【完】


颯輝がそう言いかけた時、あたしは踵を返して颯輝の車から遠ざかった。


また、この感じ。


黒い感情があたしを支配するような。


「は、ちょ、どこ行くんだよ!!」


少し遠目の方で声とドアを閉める音が聞こえた。


そしてすぐに走ってくる足音も聞こえて。


「え、何。なんで怒ってんの?」


あたしの腕を掴んだ颯輝の、驚いたような声が頭の上から降ってきた。