「そんなに急いで大人になろうとしなくていいんデスヨー。学生時代なんて一回きりなんだから思い切り楽しまないと損だよ、損」
そう言ってあたしの手を握り、歩き始めた。
「・・・・・・でも心配なんデスヨー。颯輝にきれいなオネーさんがくっつきそうで」
あたしの中に潜む黒い感情を読まれないように、繋いでいる手をブンブン振った。
「はははっ、大丈夫大丈夫。そんな心配いりませんよー」
颯輝は繋いだ手にさらに力を込めてブンブン振った。
「どうしてそんなことが言えるのよ」
納得いかず口を少し尖らせれば、
「俺はお前しか眼中にないから」

