駅に通いはじめて5日。
さすがにもう無理かな、と諦めかけたとき、目の前をあのときの彼が通った。
「あ、あのっ!!」
思いきって声をかけたあたしのほうを彼が振り返った。
「あ、あのときの」
そう言って彼は目を丸くして驚いていた。
「あのときはありがとうございました。おかげで合格することができました」
「おー、まぢで?よかったじゃん。おめでと」
そういうと彼はポンポン、と二回あたしの頭を撫でた。
「そ、それでですね、お、お名前を聞いても・・・・・・よろしいでしょうか・・・・・?」
おどおどと尋ねるあたしに彼は、
「寺本颯輝」
と答えた。

