そんな生活が始まって、もう少しで一ヶ月が経とうとしていた。


冬も深くなり、寒さが身にしみる。
さすがに外で昼寝はできず、先輩と会えない日が続く。

少し寂しい気もしたけれど、元の生活に戻っただけだと思うようにした。


 学校から家までの帰り道。
その少しの時間は先輩に話すことを考える時間だった。


それは至福の時だったのに、今となってはただただ虚しさの残る時間。


電車が来るまでが長く感じる。


電車が置いていく冷たい風に身をちぢ込ませながら、
今日も先輩のことを考える。


――――不意に温かいものが頬に触れた。


それは缶のホットレモン。そしてそれを持っていたのは先輩だった。