「ご…ごめん。泣かせる気はなかったんだけど。」
先輩は悪くない。勝手に私が泣いているだけ。
「先輩のせいで泣いているわけではないんです。だから謝らないでください。」
と涙の訳を教えた。
そそり立つなめらかな木のその下で泣くなよな傷ついたからって
「まあ。悲しかったのは分かるけど…。泣いてないで次の恋、頑張りなよ。」
そう励まして、昼寝もせずにどこかへいってしまった。
それからというもの、その木の下にはいつも先輩がいるので、
ちょくちょく話をしに行ったりした。
先輩は寝ているのか寝ていないのか分からなかったし、
迷惑かなとか思ったりもしたけれど、それでも私は話しに行くのをやめなかった。
だって先輩はいつもそこに来てくれていたから。


