「山仲さん家はほんと仲良いわね。」

そぅ私達家族は誰からも羨まれるような仲のいい最高の家族だった。


料理上手でオチャメな母。

優しくておおらかな父。


そんな二人を私は心から愛してた。

母と父も私を愛してるんだと思ってた。

でもそれは私の勘違いだった。

母は私が大嫌いだった。



昔から私は母にどこも似てない。

仕草も顔も声も髪も。

でも私は気にしてなかった。

母と違い……。

母と二人きりになった時、私が音楽をかけた。

クラシックが好きな私に対し母はクラシックが大嫌いだった。

もちろんクラシックだ。


「なんでクラシック?」

母が静かにそう聞いた。

「いいじゃん。ねっお母さん」

トントントン。からドンドンドン。母の包丁の音が大きくなっていった。


「もぉ、お母さん。私ニンジン嫌いって言ったでしょ?」

母が包丁を止めたその瞬間―。

「いいかげんにしろっっ!!気安く私のことをお母さんって呼ぶな!!私はお前の母さんでもなんでもないっっ。むしろ他人だ」

「えっ―」

「次私を怒らせたら私はお前を殺す!!」

母は獣のような目で包丁をペロリと舐めた