そんな気持ちを抱いていたあの頃のことを思い出す度、

馬鹿な自分を憐れんでしまう。


あの人のことを何も知らず、毎日を輝く日々なんだと思い込んでいた頃。


俊ちゃんは、あたしのことをどんな風に思っていただろう。


浅はかな子供だとでも思ってた?


俊ちゃんは何で、あたしと一緒に暮らし始めたんだろうね。


ちゃんと、聞いておくんだった。



“俺が亜里沙のこと、一生守ってやるから”


俊ちゃんと一緒に眠っている時に、不意に言われた台詞。


俊ちゃんは、どんな想いでこの台詞を口にしたんだろう。



“好き”とか“愛してる”とか、よくわかんなかった。


それでもあたしは、ただ単純に嬉しかったんだ。


何にもないあたしだけど、俊ちゃんがずっと傍に居てくれるのだと思えたから。


ずっとずっと、二人で幸せに暮らしていけるんだと思ってた。


会話が多かったわけじゃない。


どこかに連れてってもらったわけでもない。


何かを望んでたわけでもないんだよ。


ただあたしは、このままずっとこんな風にして過ごしたかっただけ。


こんなちっぽけな願いさえ、叶うことはなかったんだ。


“壊した”と言うならば、どちらが先だったろう。



思い返せばあたしは、この3年で色々なものを失った。


失って、失って、また失って。


これであの人は、満足なのだろうか。


全部全部、俊ちゃんの思う通りになってるね。


だからもぉこれ以上、俊ちゃんの言いなりになんかならないよ。