『…なぁ、俊二。
亜里沙ちゃん、俺にちょうだい?』


「―――ッ!」


ポカンとしてあたしは、瞬間に顔を上げた。


そこには、イタズラに笑った大我さんが、俊ちゃんに顔を向けていて。



『俺なら積み上げてきた信用もあるし、安心だろ?
なぁ、お兄ちゃん♪』


「―――ッ!」


とりあえず、何が起こってるのかわからなかったけど。


何だかめちゃくちゃな展開なことだけは、馬鹿なあたしにもわかった。



『…俺の使用済みでも良いの?』


『―――ッ!』


瞬間、大我さんは目を見開いて。



『お前、こんな子相手に何ヤってんだよ?!』



あぁ、終わったな、と。


あたしは再び視線を落とした。



―ボコン!

『―――ッ!』


瞬間、景色がスローモーションに流れて。


自分の足しか映っていなかった視界の中に、

突如として鈍い音と共に俊ちゃんが倒れ込んだ。


恐る恐るあたしは、顔を上げる。



『…悪ぃな、俊二。
お前のこと、ちょっと見損なった。』


言葉を投げた大我さんは、見降ろしていた俊ちゃんへの視線をあたしに向けて。



『逃げようね、お姫ちゃん♪』


「―――ッ!」


言葉と共に、腕を引っ張られて。


何が起こっているのか理解する暇もなく、大我さんによって連れ出された。