『てめぇ!
何度言わせりゃ気が済むんだよ?!』


怒鳴られ、突き飛ばされて。


今度こそ本当に、嫌になって捨ててもらえるのだと思った。


解放してもらえるのだ、と。



「…残念だね。
あたし、俊ちゃんだけのオモチャじゃないんだよ。」


『―――ッ!』


それ以降、言えた言葉はなかった。


俊ちゃんからの“復讐返し”は、

誰が見てもわかるほどの、首筋につけられたキスマーク。


結局また、抵抗することは敵わなかった。


馬鹿なあたしが思いつく限りのことはやってみたけど。


どれも簡単に、そして倍になって返される。


怒っていても俊ちゃんは、相変わらず行為の最中にあたしの名前ばかり呼ぶから。


愛されてるのかと、勘違いしてしまいそうになる。


気付いたら梅雨になっていて、

そして気付いたら、両親の命日まで近づいて。


あたしは一体、何のために存在してるのか。




さすがに首筋のキスマークは隠しきれないので、

仕方なく消えるまでの間、学校を休んだ。


あの日以来、これほど長時間あの人と同じ空間で過ごしたことはない。


どうすれば良いのかなんてわかんなくて、

仕方なくあたしは、自分の部屋に篭り続けた。


それだって、俊ちゃんは何も言わないんだから。


それとも、自分の手元に居る分、満足でもしてるのかもしれない。


そう考えると、俊ちゃんの思い通りに行動している気がして。


嫌で嫌で、堪らなくなった。