俊ちゃんにはあんな風に言われたけど、

あたしはあの軽い系と別れようとは思わなかった。


好きになったなんて、ありえない。


だけど、こんな抵抗以外には思いつかないんだ。



「圭吾!
あたし今日暇だし、どっか行こうよ。」


『おっ、良いね!
てかこの前エイリアン途中だったし、続き観ようぜ!』



何ともまぁ、相変わらずな誘い方。


てゆーかあたし、全然観てないし、続きも観たいとも思わないんだけど。


何も言わないあたしに、危ない系で軽い系の“圭吾”は、

笑顔でキスを落としてきた。


瞬間、香るのは圭吾が右手に持っているイチゴジュースの香り。


昼休みにみんなも居る中庭でこんなことをするヤツもどうかと思うけど、

それでも俊ちゃんとは全然違うことが、それなりに嬉しかった。


苦い苦い煙草もコーヒーの味もしない、

甘いだらけの圭吾のこと、嫌いではなかったのかもしれない。





「ねぇ、圭吾。
キスマークつけてよ。」


『…どーしたんだよ、急に?』



今度はビデオをつけるまえにサカってきた圭吾にあたしは、

上目を遣って言ってみた。


まんざらでもなさそうな言葉を返す圭吾に、

“愛されてる気がするから”とあたしは、もっともらしい言葉を並べた。


そしてあたしの肌につけられた、赤いしるし。


甘い疼きは、今度は俊ちゃんにどれほどの効力があるだろう。


そんなことを考えながら、また圭吾に抱かれた。


これが愛のある行為なら、同じことをする俊ちゃんにも、愛があるのだろうか、と。


馬鹿みたいなことばかり考えてしまう。