「じゃあ、俺も君の上靴見てい?」 「…どうぞ…」 彼女の了解を得ると、足元を見せてもらう。 紺のハイソックスの足が履いている 小さな上靴。 綺麗な整った字で、<速水咲>と書いてある。 「速水、咲…ちゃん?良い名前だね」 「いえ」 ガタン 「そろそろ失礼しますっ。ごゆっくり」 いきなり彼女は椅子の音を鳴らして立ち上がった。 (なんか、言った?) 自分の言った言葉を振り返ったが、彼女の気持ちを損ねるようなことは言っていない。 (まあ、いいか) 今度会ったら謝ろう。