翌朝―――。

「あ゛ー・・・」

直樹は今日も寝坊だ。昨日、目覚まし時計をセットするのを忘れていたらしい。
(あー・・・今日は遅刻しよ・・・)
昨日の事で気分が乗らない直樹はのんびりと仕度をし、ゆっくりと自転車を引いて学校へ向かった。
(あー、どうしよ。二人に会うの気まずいな・・・)
そんな事を考えながら歩いているとポンッと背中を叩かれた。
「おはよう!直樹君。いやぁ、良い朝だね~」
後ろを振り返ると幸助が立っていた。
「こ、こうすけ!?どうして・・・」
「ん?あ、叩き方が違ったって?ふっふっふ!昨日の夜、家で猛練習したんだよ!痛くなかっただろ?昨日はバンッだったしなぁ」
一人で高笑いしている幸助を直樹は「そーじゃねーよ」とツッコミを入れる。
「どうして来たんだ?お前ん家、逆方向だろ?」
直樹は幸助をじっと見つめる。少しの沈黙が続く。幸助が口を開いた。
「直樹、あの意味、わかった?ほらっ「小学生」ってやつ・・・」
「・・・わかったよ、やっと自分の感情に気付いた。」
「え!気付いてなかったの?あんなにわかりやすいのに!」
「だ、だって男同士が付き合うなんて普通考えねーだろ!?」
直樹が言うと幸助がくすくすと笑い始めた。
「直樹~、もう付き合うってことまで考えてんの~?」
幸助がそう言うと直樹は一気に顔を赤らめた。
「あー、もう先に行く!」
と言って、直樹は自転車に乗り、学校へ向かった。
残された幸助は笑顔で学校へ向かった。