ジリリリリリリリリッ
「ん、あーー」
森田直樹 13歳
「やっべ!遅刻!」
今年から中学二年生だ。
(そうだった!今日は入学式だった・・・)
直樹は吹奏楽部に所属している 楽器はチューバ。
「行ってくる!」
急いで仕度をし、自転車に乗って学校へ向かった。


ー5分後ー

(はぁー・・・間に合った・・・)
「なおきー!!遅いぞー!」
バンッ
いきなり背中を叩かれて何が何だか分からなくなっていた。
「え、あ・・・・・あ!おはよ!」
一緒に吹奏楽部に所属している「渡辺幸助」楽器はパーカッション。
そしてもう一人・・・
「直樹、おはよー」
「おはよ、ゆうた」
メガネがよく似合う「長谷部優太」幸助と一緒でパーカッションをやっている。
いつも「直樹・幸助・優太」の3人で仲良くやっている。
「今日はがんばらねーとな!新しく男入ってくるかな!」
幸助がうれしそうに言う。幸助は明るい性格で皆にやさしい。
「まぁ、俺達は演奏を完璧にすりゃいいんだよ。感動して入部してくれれば最高だろ?」
クールに言っているが、本当は入部してきてほしいとハッキリ言えないシャイボーイな直樹。
「多分・・・・・・」
「ゆ、ゆうた・・・多分なに?」
「多分・・・・あれ?忘れた・・・」
「おいーー!!もう優太は本当に面白い奴だなー」
口数は少ないがド天然の優太は皆に人気があった。
皆と仲良くワイワイはしゃいでとても楽しかった。
直樹はこんな幸せな時間が続けばいいなと思っていた。
自分の感情に気づくまでは・・・

数十分後―――――――――。

無事に入学式を終えた。
顧問の先生から、「いい演奏だったぞ!よくがんばった!」とほめられた。
(疲れた・・・早く帰りたい・・・)
入学式が終わり、一段落してから仲良く3人で帰ろうとした。
「今日はすごかったなぁ、直樹ってめっちゃチューバ上手くない?」
「そ、そんな事ねーよ。まぁパーカッションもすごかったんじゃないか?」
頑張って照れ隠しをしている直樹を見つめ優太がクスッと笑った。
「ゆうた、今笑っただろ」
「え、ううん、笑ってないけど?」
「優太くん!嘘はいけませんよ?学校で習ったでしょ?」
まるで小学生に言っているかのように幸助は優太に語りかける。
「・・・うん、嘘だよ。笑っちゃった。」
と、ニコニコと可愛い顔で笑う優太を見た直樹は―――。
「・・・んじゃ、ゆうたくん、これは嘘をついた罰な」
と、優太のカバンの上にさらにカバンを乗せた。
「お、おもいー」
「直樹は小学生かっ!優太重いって言ってるぞ?」
直樹はなんだか自分が悪者扱いされているような気分になり、乗せたカバンを取ろうとした。
「うー・・・お、おもい、よ、はぁ・・・はぁ」
目がうるうるで息がずいぶん荒い優太を見た直樹は・・・