教室に戻るまでの道で、確かにみんなあたし達が通ると振り返ってた。


あんな露骨に見られてて、今までなんで気付かなかったんだろ…


『ねぇっ!!あたし達って美人なわけ?』


ちづるは教室に入るなり大きな声でみんなに聞いた。


するとクラス中から…


『なによ~イヤミ?』


『大谷はキレイ系で塩谷は可愛い系だな』


『今更~?気付くの遅過ぎ』


『入学式ん時から有名だよ』


………どうやらホントらしい。


『はいはい!席に着いて~』


5時間目の教科の先生が来てみんなに言った。


みんな急いで自分の席に戻り、教科書を出して授業を受ける。


『信じらんないね!』

ちづるが振り返って小声で言う。


いやいや…ちづるは可愛いよ!中学からずっと知ってた。


さっきの廊下の視線もちづるに向けたものだと思ってた。


あたしそんなモテないし。可愛いとか親にしか言われた事ないもん。


あたしにはわかりません。


――キーンコーンカーンコーン――

あたしはずっとその事を考えてた。


…というよりも半分以上が寝てた。


お昼からの授業は全く記憶にない。きっと先生は気付いてただろう。


『ホームルーム始めるぞ~席につけ~』


弘君が日誌で黒板叩きながら言う。


もぉこんな時間だったんだ…


今日は会長ともあんな近くで話せたし!


こんなあたしでも可愛いってみんなに言ってもらえたし!


満足だわ♪


『ちょっと!あおいってば!』


『ほぇ?』


『何ニヤニヤしてんのよ~生徒会室行くよ!』