【乃愛side】


◇◇◇


教室の扉を開けると既に今朝のことが話題になっていた。



「高峰~。お前また女子助けたの?」


「まぁね。放っとけないし。」



私の近くの席に腰を掛けていた男子に話かけられた。

鞄を机に置きながら適当に返事をした。


女の子から見た私は異常にかっこいいらしい。

肌が白くて、サラサラな焦げ茶色の髪は肩に届くくらいの長さ。身長が160cmで女子にしては割と高い。奥二重の瞳は髪と同色。全体的に顔立ちが整っているらしい。

制服を着ていれば男と間違えられる事は少なくなるのだが、私服や学校指定のジャージなどを着ていれば知り合い以外なら必ずと言っていいほど男と間違えられる。

昔はよく男の子と間違えられたものだ。



「今日もモテモテだな、王子♪」


「アンタよりモテるから心配無用。」


「王子が毒吐いたしっ!」



私の肩にポンと手を置いたがすぐにシッシと払いのけると、男子は泣き真似をしながら近くの男子に泣きついていた。


普通に気持ち悪い。


最終的には『王子』というあだ名まで付けられた。

どっかの誰かが命名したのか知らないが、私一応れっきとした女だからね?
そこの所を忘れないでほしい。



「乃愛ー!」



教室の扉の方向から聞き慣れた声が聞こえる。

その声の主は姿を見なくても認識出来るので、ガタッと席を立ち廊下へ足を運んだ。