【乃愛side】


高峰 乃愛。
健全な高校2年生。


朝登校していると周りの生徒がザワザワと騒ぎを立てる。


ん?
何でかって?



女の子をお姫様抱っこをしているから。



それは家から出た直後の事だった。


◇◇◇


私は決まった時間に家を出て、いつもの通学路を歩いて登校していた。


「きゃっ!」


背後から可愛らしい声が聞こえた。


後ろを振り向くと、私と同じ制服を着た女の子が道の真ん中で、足を押さえて身を屈めていた。

リボンの色に視線を向けると桃色だったので1年生だと認識した。

昔から困っている人を放っておけない性格なので、彼女の近くに寄り「どうしたの?」と聞いてみた。



「走ってたら足 捻っちゃって…。」



苦笑しながら答えた女の子は、ゆっくりと立とうとしたみたいだが、足の痛みに負けたらしくすぐにしゃがみ込んでしまった。



「立てそうじゃないね…。おいで。」


「えっ?…きゃっ…!」



ポカンとした表情をした彼女を軽々と抱き上げた。

いわゆるお姫様抱っこだ。



「い、いいです!歩けますから!」



私の突然の行動に動揺を隠せないみたいで、顔を赤くしながらジタバタと暴れだした。

しかし、先程までの光景を見ているととても学校までは行けそうではない。



「いいから。遠慮しなくていいよ。」


「でもっ…!」



彼女は何か言おうとしたみたいだが、口を閉じて私に身を預けた。



「恥ずかしかったら顔隠してて。」


「は、はい…。」



彼女は顔を赤くしながら、大きな瞳をギュッと閉じた。

その行動を確認した私は、ゆっくりと学校へ足を運び出した。