「・・・・・店長・・さん・・・?」



「・・・・・」



鏡子は立ち止まったまま、俺の腕の中にいる。



鏡子から伝わる鼓動は、



俺の鼓動と重なっていく。



「まだ、帰らないで・・・ください」



後ろから抱きしめた鏡子の細い体を、



俺は離せないでいた。



鏡子はきっと驚いているだろう。



突然こんな風に抱き寄せられているのだから。



でも・・・・・



抵抗しないで・・・・・



ゴメン・・・・



しばらく・・・・・お願い・・・・・



もう少しだけこのままでいさせてほしいと、



俺は心からそう思っていた。