しばらく続いた沈黙。

何か話さなきゃと思いつつ、私は何も話せなかった。

同じゼミなんだし、大学だって同じなのだから、共通の話題なんていくらでもありそうなのに。

この人に想われてるのかもしれない……。

そう思うと気まずいような恥ずかしいような、どちらにしても落ち着かない気分になり、とても普通ではいられなかった。

こんな時、真央実だったら上手に無理なく和やかな雰囲気にするんだろうなー。

自分、恋愛経験値が低すぎる。

恋愛らしい恋愛をしてこなかった今までの自分に情けなさを感じた時、

長すぎる沈黙に耐えかねたのか、芳は私の方を横顔だけで見てこう言った。

「真央実ちゃんって、いかにもモテそうだよね。

タイチも真央実ちゃんのこと好きみたいだし」

「そうだね。実際モテてるし」

愛想笑いを貼り付けてそう返したけど、正直微妙な気分だった。

二人きりの時に他の女の話題って……。

共通の話題といえばそれしかないから仕方ないのかもしれないけど、今は真央実の名前や彼女が誰かに好かれているという話なんて聞きたくなかった。