初めて芳と飲んだ日のことは、今でもよく覚えてる。

第一印象は、「照れ屋な人」。

私のことを気に入ってるだなんてウソじゃないのかと疑ってしまうくらい、芳はほとんど私と目を合わせてくれなかった。

それでも、真央実や真央実の男友達·タイチ君のおかげで楽しく過ごせ、緊張していた私もリラックスできていた。


真央実が言うには、タイチ君と芳は同じサークルに入っているそうで、

芳は、タイチ君から私と仲の良い真央実の話を聞いて、私と仲良くなりたいと、タイチ君に今回の飲み会のことを頼み込んだそうだ。


飲み会も無事に終わり、真央実やタイチ君と解散することになると、真央実達のススメで、私は芳に帰り道を送ってもらうことになった。

芳は照れくさそうに頬をそめ、

「けっこう飲んでたけど、歩ける?」

と、手を差しだしてきた。

「あっ、うん、平気」

いきなり手をつなぐなんて、恥ずかしい。

私は出された手を無視し、一人で歩きだした。

芳は私の後をついてくる。

静かな夜道に、私達の足音がヒタヒタと響いた。