4年、待ってた。


そんな中、人混みをかきわけて、私にヒールを届けてくれた男子高生がいた。

「これ、あなたのですか?」

戸惑いがちにヒールを差し出す少年に、私は満面の笑みで言った。

「ありがとう。

慣れない靴だから、歩きにくくて」

すると少年は笑って、

「気をつけて下さいね、じゃあ」

と、颯爽と電車に乗った。

真新しい制服に身を包んだあの少年がまあくんだったのだと、いま初めて知った。

まあくんは思い出し笑いをして、

「入学初日から面白い人がいるなーと思いましたよ」

と、肩を揺らす。

恥ずかしくなり私は、

「だって、あの時は仕方なかったんだよ!」

と、反発してみせた。

「そんなとこが可愛くて、放っておけないと思いましたけどね」

まあくんは愛しげな目を私に向け、

「バイトすることにしたのは、たまたま入ったあの店で、ウェイトレスとして働いてる吉住さんを見かけたから。

店員の吉住さんと仲良くなりたい一心で、店に電話もせず履歴書も持たないで、直に店長呼び出してました」

まあくんがバイトすることになったのには、そういう裏事情があったのか。

「その時はまだ15歳だったからダメって言われたんで、秋に16の誕生日が過ぎてからすぐ、履歴書持って出直しました!

そしたら、吉住さんが俺の教育係をしてくれることになって……。

吉住さんと話せてテンション上がるし、テンパるしで、毎日ハンパなかったけど、絶対迷惑かけられないなって思って、頑張ったんすよ」

一生懸命に話すまあくんを見ていたら、いろんなことにマイナス感情が湧いていた私の胸は、あたたかくなっていった。