「まあくん?」
呼びかけても、返事がない。
まあくんの視線の先をたどると、洗い立ての洗濯物の山。
お母さんに持ってきてもらったまま、まだチェストにしまっていなかった。
お母さんのたたみ方のクセで、下着を一番上に積んである……!
私はあわてて、洗濯物の山を両手で抱え、クローゼットの中に隠した。
「ごめん、目に毒だったね」
テンパった時によく出る、自虐的な発言。
私なんかの下着を見せられて、まあくんも迷惑極まりないだろう。
まあくんはきょどって、
「いや、すいません!
毒じゃないっすけど!
こっちこそ、まじまじ見てすいません……」
と、オーバーなくらい謝った。
芳だったらこんな時、
「他にはどんなの持ってんの?」
って、興味津々に訊いてくるんだろうけど、まあくんはそれ以上下着ネタに食いつこうとはしなかった。
その純粋さが、私にはまぶしすぎる。
まあくんは顔を赤くしたまま、うつむいていた。


