4年、待ってた。


ただでさえ、芳のことで不安定な気分になってる。

そんなときに優しくされたら、揺らがない自信がない。

芳と付き合ってからの私は、幸せと同時に、精神的なもろさまで手に入れてしまったようだ。

芳と付き合う前は、こんなに弱くなかったもん。


結局、いろいろ言い合いつつも、まあくんを自室に呼ぶことにした。

「おじゃまします……」

家族に気をつかっているのか、初訪問の家に緊張しているのか、小声で玄関をくぐるまあくん。

それが何だか面白くて、ちょっとだけからかってみる。

「まあくんって、何か可愛いね」

「また、そういうこと言うんすか!!」

小さな声でそんなやり取りをしつつ、私の部屋に着いた。


適当に座ってもらうと、長い道のりを走って汗をかいてるまあくんにタオルを差し出した。

さっきまであんなにしゃべっていたまあくんの動きが、ぎこちない。

「すいません」

タオルを受け取り汗を拭いているまあくんの姿に、胸の奥がギュッとしめつけられた。

話すことが思いつかず、まあくんの横顔を見ていると、その目線はある一点でかたまったまま動かなくなった。