4年、待ってた。


目を丸くして、ただただ空を見つめる私に、まあくんは得意げに言った。

「ね、綺麗でしょ。

特にこの時間の星は格別!

邪魔する光が少ないから、空が透き通ってるみたいで」

「ほんと、綺麗……」

ストレスや悩み事が、小さくなってゆく。

それくらい、無数の星達は私の心を無心にしてくれた。

「よかった。

吉住さんに気に入ってもらえて、嬉しい」

まあくんはそれだけ言うと、自転車にまたがった。

「もう帰るの?

せっかく来たんだし、少し部屋に寄ってく?」

寒さで赤らんだ頬をさらに紅潮させ、まあくんは首を横に振った。

「吉住さんに迷惑かけたくないから」

「迷惑なんかじゃないよ。

逆に、こんなとこまで来させといて、何もせず帰す方がムゴいじゃん」

「そうでしょうけど、俺だって一応男っすよ。

簡単に吉住さんの部屋に入れてもらうわけにいきませんって」

「まあくんは男じゃなくて子供だよ。

変な意識持たないでくれる?

ちょっとだけ、あったまっていきなよ。

あったかい飲み物もあるし」

まあくんのセリフに思いのほか緊張してしまったのを、子供扱いしてごまかした。

「また子供扱いする!

ひどいっすよ、吉住さん」

まあくんはむくれた。


お願いだから、今はそういうふざけた態度でいてほしい。

まあくんの男な面を見たくない――。