4年、待ってた。


玄関の扉を開けると、やっぱりまあくんがいた。

その傍らには自転車がとまっており、彼の額は汗に濡れている。

この寒空の下、私なんかのために、全速力で自転車を飛ばして来てくれたんだ……。

「意外に近かったっすね」

まあくんはそう言い笑ったけど、私は笑えなかった。

「本気で来ると思わなかった……。

なんで来たの?」

まあくんは袖口で汗を拭き、

「俺、学校チャリ通なんすよ。

距離的にはそれ往復するみたいな感じだから、余裕です。

言ってませんでしたっけ?」

「チャリ通なの?

初めて聞いた」

「それだけじゃなくて、来る途中、吉住さんにこれ見せたかったから」

言うなりまあくんは、空を指さした。


漆黒の空。

普段は見過ごしている天は晴れ渡り、雲ひとつない。

そこには冬の星座がきらびやかに浮かび、私たちにあたたかい星の光を降り注がせていた。

2月の真夜中。

とても寒いはずなのに、それを見上げた瞬間温度の存在を忘れた。

星の魅力に吸い込まれそうになる。