動画サイトで音楽を聴きながら時間をつぶした。
考え事をしないよう、歌詞や曲に集中してみても、やっぱり心の中はまあくんとの電話でいっぱいになる。
なぜ、いま、まあくんに会いたいんだろう?
無視して寝ちゃえばいいのに。
まあくんはただのバイト仲間。
仲は良いけど、こうなるまでケータイの番号すら知らなかった者同士。
だいたいまあくんは年下の高校生。
頼るのなら、芳と付き合うキッカケを作ってくれた真央実や、ほかの友達を頼ればいいのにね。
まあくんのことを特別視してしまうのは、みんなが知らないグリーンというサイトでひっそりつながりを持っていたから?
芳はきっと、こんな私を知らない。
グリーンを通して、私とまあくんがやり取りをしていること。
もし知ったら、ヤキモチやいてくれるかな?
ううん、それはないだろうね。
自分の経験で、男女の友情はあるって言えちゃう人だから。
まあくんは弟みたいな存在なんだと説明したら、すんなり「そうなんだ」と受け入れそう。
考えていたら、だんだんつらくなってきた。
私は芳の異性友達を許せないけど、芳はきっと、私とまあくんの交流を認めてくれる。
彼女として、それはやっぱり寂しかった。


