男友達のいない私が悪いんだと思う。
初めて付き合った彼氏が芳で、舞い上がるばかりだった。
でも、もう、潮時(しおどき)なのかも。
ただでさえアイドルポスターや女友達との電話の件でもいっぱいいっぱいなのに、これ以上、芳のことで我慢を重ねたくない。
「女友達と旅行なんて、おかしいよ!
私がいるのに……。
芳の考え、理解したい。
でも、それだけはわからないよ!」
うまく言葉にできない。
口にすればするほどめんどくさくなる。
今まで怒ることのなかった芳も頭にきたみたいで、私につられるように、きつい口調でこう言った。
『友達との旅行くらい許してよ!
ネネちゃんは、心狭過ぎ!』
全身の血が、一気に頭にのぼるのを感じた。
体はカーッと熱くなり、手も震える。
図星をつかれたから……?
「そうだね! 私は心狭いよ!
私も芳の女友達みたいに、優しければよかったのにね!!」
芳の女友達になんて会ったこともないけど、皮肉を込めてそう言い、電話を切ってやった。
もう、わからなくなった。
付き合っていく自信が、砂のようにサラサラと両手からこぼれ落ちて消える。


