大学に入学した頃、私と真央実は、一緒に行動するため何から何まで同じ授業を選択した。
大学生活にも慣れた数日後、私達と同じ教室でよく見かける男子2人と行動するようになったのだけど、私はそのうちの一人を好きになり、告白することまで考えるようになっていた。
その人とは話も合ったから一緒にいて楽しかったし、気がつくと二人きりになる時間も多かった。
もしかしたら、向こうも私のことを少し意識してくれてるのかもしれない。
うぬぼれが許されるような身分じゃないってことはよく分かってたけど、その時は夢中になりすぎて、相手のことを冷静に見れてなかったんだ。
数日後、その人に真央実のことを相談されるまでは……。
「ネネちゃん、真央実と仲良いよね」
「う、うん……」
思い返してみれば、その人と話すようになったキッカケは、その人から振られた真央実の話題に、私が乗ったことだった。
「真央実って、どんなタイプが好きなの?
いま、好きなヤツとかいると思う?」
「さあ……。今はそういうの聞かない」
興ざめした私は、適当にそう返してその人の恋愛相談には乗らなかった。
もちろん、告白もしなかった。
一人で浮かれてバカみたい。
あの人は真央実と近付くために私と仲良くしてたのだ。
ふん。面白くない。
あんなに夢中だったはずなのに、その人が真央実狙いだと分かった瞬間、私の気持ちは自分でも信じられないくらい一気に冷めた。
……本気で好きなわけじゃなかった。