その夜、芳に会い、私はまた微妙な気持ちにさせられた。
二人きりの部屋の中、それぞれ窓際と壁側といった感じで離れて座っている私達の間に、会話はない。
芳は手にしたマンガに夢中で、私がいくら話しかけても、
「うん」
「そうだね」
と、空返事しかしない。
相変わらず部屋に貼られたアイドルポスターはそのままだし、私といるのにマンガを読むって……。
「マンガ読むんなら、私と会ってる意味ないんじゃない?
さっきから話しかけてんのに、返事テキトーだし。
そんなにマンガが読みたいならマン喫に行けば?」
いい加減腹が立ってきた私は、そう言い立ち上がると芳の部屋を出た。
腹いせとばかりに、足音を大きく鳴らす。
さすがに芳も危機感を覚えたのか、
「……ネネちゃん、待って!!」
部屋を出て数秒後、表の歩道で腕をつかまれた。
「ごめん! もう、マンガは見ないから」
そう言い抱きしめられた瞬間、涙があふれてきて、
悔しいけど、私はこいつが好きなんだと思った。


