「ごめんね、これからはもう、そういうこと言わないから」
さらに謝ると、私は休憩室を飛び出した。
まあくんの気も知らないで、一人で楽しんでた自分がものすごく恥ずかしい。
動揺していたせいか、その日のバイトは同じようなミスを繰り返してしまった。
「これじゃ、どっちが新人か分からないっすよ」
休憩中の気まずい会話など忘れたという感じで、まあくんは私のフォローをしてくれたけど、私は彼と目を合わせることができなかった。
だってさ、まあくんのこと、魅力的だと思う。
腕まくりした制服からのぞく腕は、たくましい。
笑う顔や口調はまだまだ幼いのに、私より高い目線にある顔は充分男らしさであふれていた。
バイトの先輩後輩として仲良くなった今では弟みたいな感覚で見ているけど、もしこうして知り合ってなくて、電車の中とかで見かけるだけの顔見知り程度だったとしたら、普通にカッコイイと思って目を奪われてた。
まあくんはそれくらいスペック高いんだよ。
無自覚なのが、もったいない。


