明るい雰囲気に持っていこうとしたのに、私のそんな努力(?)もむなしく、まあくんの機嫌は悪いままで、ちっとも笑ってくれそうになかった。
謝るのもなんだか変だし、これ以上何か言っても墓穴を掘ってしまうと感じたので、ちょっと早いけど休憩を終えてホールに出ようと、私はイスから立ち上がった。
「じゃ、先に行くね」
気まずいままぎこちない笑顔でそう言うと、
「……吉住さんにそういうこと言われるの、キツイです」
まあくんが泣きそうな声で言った。
「彼女できるよとか、好きな人できたらいいねとか、今までは我慢して聞いてましたけど……。
……キツイっすよ」
「ごめんね……」
そんなに気分悪くさせてるなんて気付かなかった……。
他に何て言うべきか分からなくて、私はまあくんに謝った。
まあくんみたいに、望めば彼女が出来る環境にいる人がどこかうらやましくて、憧れてたのも本当。
私がもしまあくんの立場だったら、恋人なんてより取り見取りなんだろなぁなんて、妄想して楽しんでた。
それがまあくんにとっては不愉快なものだったなんて、思いもしなかった……。


