4年、待ってた。


「まあくんは真面目だね。

私が高校生だった時は、恋愛のことしか頭になかったよー」

「そうなんすか!?」

まあくんが、珍しく身を乗り出してくる。

いつもは恋愛系の話には全く興味を示さないまあくんが、そんなに関心を示すなんて。

面白いなと思いつつ正直驚いた。

「って言っても、私が一方的に好きになって終わるパターンばっかりだったけどね」

「でも、いま彼氏さんいますよね?」

まあくんはこちらの顔色をうかがうように、おそるおそるそう訊(き)いてくる。

私は頬をゆるめて、わざとノロケてみた。

「大学入ってから今の彼氏と知り合ったの。

その人が初めて付き合った人。

やっと幸せになれたよぉ」

「……よかったすね」

まあくんの言い方は尖っていて、全然祝福してくれてる感じがしない。

さすがにノロケ過ぎたかな。

他人のノロケ話なんてうざいだけだよね。

まあ、実際はノロケたくなるほどじゃないし、今の芳とは微妙な感じなんだけど、そんな暗い話できるはずもなく、

「そんなわけだから、まあくんもそのうち好きな人できるといいね」

と言い、無理矢理話を終わらせた。


弟みたいに親しみやすいまあくん。

まあくんといると、時々不思議な気分にさせられる。

新境地を見たようなさ。

芳とのモヤモヤした関係から逃げるための場所(バイト先)を失いたくない気持ちもあるけど、それ以上に、まあくんとは楽しく関わっていたいと思った。