芳も話を聞くのが上手なタイプで、最初はそれがいいと思ったりもしたけど、最近では謎。
芳の言動すべてが鈍感というか、無神経なものに見えてる。
そんな私情もあって、私はまあくんの気遣い加減こそが、本当の雰囲気上手だと思った。
それにまあくんは、私の気持ちを見事に言い当てるから、若干気まずくもあった。
一生懸命笑顔で話してるのに元気がないと言われるし、それに対し眠いとごまかすと、
「肩、かしましょうか?」
と、悪ふざけ的なことを言ってくる。
「まあくんの肩かりるくらいなら、彼氏の肩かりるし!」
笑いながらそう返したけど、内心ドキドキしていた。
私、男に免疫がなさすぎる。
年下なんかに翻弄(ほんろう)されて……。
からかわれてるだけに決まってるのに、時折見せるまあくんの男らしさは、私の気持ちをうわずらせるんだ。
肩をかりるのを拒否ったせいか、まあくんはしょんぼりした顔で、
「吉住さん、ひどい……。
俺の肩じゃ満足できませんか?」
「満足するしないじゃなくてっ。
そういうことは、彼女に言いなよー」
「だーかーらー。彼女なんかいませんって」
まあくんと会話してると、最後は必ずこういうオチになる。


