4年、待ってた。


彼はバイトのみんなに「まあくん」と呼ばれている。

バイト内では最年少の16歳。高校一年生。

このころ、バイト先の人間関係にも馴染み、多くの仕事を覚えていた私は、最近バイトに入ったばかりの新人(主にまあくん)の教育係をするよう店長から指示を受けていた。


「吉住さん、最近元気ないね。

どうしたんすか?」

「んー。忙しいからね。

ちょっと眠いだけ」

こんなふうに気楽な会話ができるのも、教育係と新人という間柄だから。

まあくんは、クラスにいたら絶対モテるタイプに分類されるだろう顔と性格。

空気を読めて気遣い上手。

私だけじゃなく、他の先輩や店長からも可愛がられていた。

まあくんは慌てん坊でうっかりとミスもするから、教育係の私としてはハラハラさせられることもしばしば。

でも彼は、同じ間違いは二度としない賢さもあった。


一人っ子の私は、弟がいたらこんな感じなのかなーという気分で、まあくんと接していた。