「はぁ……」
バイトの休憩に入るなり、私はため息をついた。
最初はクリスマスプレゼントを買いたいがために増やしたバイトだったけど、今では悩み事をまぎらわせるための手段になっている。
多忙なバイトをやってて本当によかった。
バイトで重なる肉体疲労より、芳との関係で悩む精神的疲れの方が重かった。
あんなに恋愛したくて必死だった数ヶ月前の自分がすでに懐かしいよ。
彼氏なんて、いたらいたで大変だ。
幸せな出来事ばかりじゃない。
これでも、忙しいなりに一生懸命、芳との時間を取れるように努力している。
それでもやっぱり、芳には物足りないんだろうか。
休憩室の隅に設置された自販機で缶の緑茶を買い、社員用にと並べられたイスに座って、またひとつ大きなため息をつくと、
「吉住さん、盛大なため息っすね!」
バイト先の後輩、西島摩沙斗(にしじま·まさと)が入ってきた。
彼も今から休憩らしい。
「まあくんか。おつかれ」
「おつかれっす!」
疲れ知らずといった感じで、まあくんは元気に挨拶した。


