年末年始というのもあり、バイトを休める日が減っていた。
ファミレスという職種柄仕方ないのかもしれない。
バイト歴がそこそこ長いからか、休み希望を出した日に出勤を頼まれることもたびたびあった。
バイトを増やす前までは、丸一日芳と過ごせるような休日もあったのだけど、最近はバイトが終わる夜10時から翌日の深夜1~2時の間に芳の部屋で過ごすのが当たり前になっていた。
県外受験して大学生になった芳は、綺麗なアパートで一人暮らしをしているので、夜中の出入りも自由だった。
そんなある日、初めて芳と険悪な雰囲気になる出来事があった。
バイト続きで、私も知らないうちに疲れがたまっていたのかもしれない。
芳と二人でいる時、芳が女友達からの電話を受け楽しそうに話しているのを見た時、私は初めて芳に怒りを覚え、それを全力でぶつけた。
電話を終えた芳に、
「私といる時に電話なんかしないでよ。
しかも女と……」
「ごめん……」
私のこわばった表情に何かを感じたのか、芳はしおらしく謝る。
同じ室内に私がいるのに「電話に出ていい?」の一言もかけられなかったことに、芳の常識のなさを疑った。
芳は私の機嫌を直すためか、わざと明るい口調で、
「あのさ、女友達っていっても、幼なじみなんだよね。
向こうはもう結婚して子供もいるから!」
芳の幼なじみでもあるその女友達は、私達より1つ年上。
高校卒業後、年上の人と結婚して9ヶ月目の赤ちゃんもいるそうだ。


