寒い廊下、ただ引っ張られて歩くあたし。

さっきからとーるは黙ったまんま、何だろう、怒ってるのかな?



「…とーる?」



声をかけても無言。



「ねえ、とーるってば!」



声をあげても無視、

あ ~!もう!とやけになって叫ぼうとした瞬間、

とーるが急に立ち止まってぎゅっとあたしを抱き締めた。


「馬鹿れん。」


やっと口をひらいたかと思ったらあたしを馬鹿よばわり。


「なっ!馬鹿じゃないもん!」

「隙ありすぎなんだよ、れんは。」


耳元で大人びた声で話すとーるにドキンとした、


「れんチャン」


あ、いつもの声に戻った。


「ダイスキだからね、」

「うん、」

「あんなやつスキになんないでね、」

「うん、あたしはとーるがスキだよ?」


とーるも不安になったりしてくれるんだ、

あたしのことほんとうにスキでいてくれてるんだ、


凄くそう思った。