「無視ー?ばかさきー?」
そんな女子の黄色い声の影には
きっと私の悪口も
含まれているはず。
そう、
被害妄想に近い勘を働かせた私は
このまま隆平と話していたら
もっと友達を
作りづらくなる、
って結論にたどり着いた
「"駄目"の意味がわかんないし。てかいちいち話しかけてこないでよね。クラスも違うわけだし。ほら、隆平と話したそうなコいっぱいいるよ!ね、だからばいばい」
って、
超聞き取りづらいであろう早口で
まくしたてた。
そして早く立ち去ろうと
隆平の横を横切った。
…はずだった。
「なんで機嫌わりぃんだよ」
こいつは。
この男はいとも簡単に
私の腕を掴んじゃって
「ちょっと付き合え」
意味わかんない事言って、
絶対にこっちを睨んでいるであろう
女子たちの間を
私を引っ張って歩きだした。


