女王様のため息

いつものお店は、会社から車で10分くらいの場所にある。

行列ができると納得できる味と楽しい親父が名物のレトロなお店。

と言えば聞こえはいいけど、古さが目立つ年季の入ったお店だ。

私と司は、お店の近くの駐車場に車を置いて、行列の最後尾に並んだ。

「20人くらい並んでるね。今日は少ない方か……。
こないだ海と来た時は30人以上並んでたからスマホで短編ドラマ一本見ちゃったよ」

「ふうん。海くんとも来るんだ。確か家はここから遠いだろ?」

「だね。でも仕事が遅くなった上に疲れ果てて帰る気力もなくなった時に迎えに来てもらったんだよね。
ちょうど次の日休みだったからラーメンごちそうするって言っただけですぐに来てくれて助かった」

あの日、ずっと関わっていた仕事に区切りがついて気持ちが緩んだのか。

電車に乗って帰る気になれなかった。

タクシーに一人で乗る事が出来ない私は、やむなく海に来てもらって家まで送ってもらった。

『ラーメンに餃子もつけるよ』

この言葉を口にして20分後には私は海の車の助手席に乗って眠りこけていた。