女王様のため息

「だから、仲のいい同期に戻った私を確認するために今日は誘ってくれたんだと思うんだ……。司、同期の輪を大切にしてるから、気まずいままではいられないって思ったに違いなくて……」

そこまで言葉を紡ぎながら、ぐっと唇をかみしめた。

目の奥が熱くてたまらない。

今にも零れ落ちそうな涙を我慢して目を閉じると、浮かんでくるのは夕べ見せられた司の艶のある瞳と唇に触れた熱。

「う……っ……っつ」

「真珠」

「嫌だよ……単なる同期なんて、嫌だよ……」

とうとう零れ落ちてきた涙と、嗚咽を我慢できなくて、両手で顔を覆った。

しゃくりあげる私の声は、まるで子供のようで、不規則な呼吸の合間に吐く言葉は全て投げやりになってしまう。

子供が駄々をこねて欲しいものをせがむような、そんな無茶な言葉が次々に出てきて止まらない。

これまで抑えてきた司への思いが一気にわきあがってくるようにこぼれる。

「真珠、真珠……」

体を前倒しにして泣き続ける私の体を引き寄せて、そっと抱きしめてくれた海は、私の背中を何度も撫でてくれた。

私の悲しみや強がりを、ずっと近くで見てくれる海の胸はいつでも穏やかで優しい。

今まで何度もこの胸に励まされて過ごしてきたな、と改めてこんな時に思い出してしまう。

辛いときだけじゃない、喜びであふれる私の感情を分かち合うように抱きしめてくれたこともある。

大学合格や、就職が決まった時もそうだった。

私を抱きしめて、つらい時も嬉しいときも、その感情を分かち合ってくれた海。