女王様のため息



出張を終えて直帰の司は、私の部屋へまっすぐ来てくれて、二人で夕飯を食べていた。

ちゃんと恋人同士になって、こうして二人で食卓を囲む度に

『結婚するんだな』

って実感する。

そして、それがとても幸せな事で、奇跡のような事だと感じている。

司が美香さんの側にいた時には、どうすれば司の事を諦められるのかって事ばかりを考えていたし、その事で体中が痛む思いを抱えていた。

そんな時間を振り返れば、今こうして目の前でおいしそうに私の手料理を食べている司を見られる事が本当にありがたいと思う。

でも、ただ一緒にいられるだけでいいとは思わない。

お互いの思いを寄せ合って、愛情を確認して。

未来への約束を交わしてこそ。

そんな極上の関係を築いた私達って、かなりの幸せ者だ。

「このピーマンの肉詰め、最高にうまい」

突然大きな声をあげて私に笑顔を向ける司からは、仕事も順調な男の余裕と、私への愛情に対する自信が見えた。

いつもより何倍も格好よく見えてしまうのは、気のせいじゃないはず。

仕事もプライベートも充実している男のみが見せる輝きだ。

「そのピーマンには、お肉だけじゃなくて、私の愛もたっぷり詰め込んであるからね。そりゃあ、おいしいよ」

ふふん、と笑う私の言葉に一瞬目を見開いた司。

いつもは照れて強がる私の、あまりにも素直な言葉に慣れていないせいか、司の顔は、少し赤くなった。