女王様のため息


   
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「外壁の設計って奥が深いんだよなあ」

夕飯を食べながら、司が興奮気味に話している。

今日打ち合わせに出向いたメーカーの営業の人との時間は、司にとってはかなりの刺激だったようで、目が輝いている。

司が大好きな『大根と厚揚げの煮物』を用意していた事も彼のテンションを上げる事に一役かっているようで、私の分まで手を伸ばして食べている。

司の為に作った料理だから、それはそれで嬉しいんだけど、普段ならもっと喜んでくれるのに、今日は他の事に気持ちが向いているようで。

司の反応が何となく物足りない。

「俺と同い年なのに、断熱のスペシャリストって雰囲気で、材料について何を聞いてもすぐに答えてくれるしわかりやすいんだ。
あーいう自信ってどうしたら身につくんだろうなあ」

呟きながら、司はお味噌汁へと手を伸ばした。

これも司からのリクエストで作った細ねぎがいっぱいのお味噌汁。

お豆腐も木綿で、司好み。

なのに、おいしそうに食べてくれるのはいいけれど、いつものように私への甘い言葉もなく。

……完食する勢いを見れば、おいしいと思ってくれてるんだろうけど、あーあ。

いちいち誉めて欲しいなんて、私って面倒くさい女だな。

自分で自分に苦笑しながら、私も箸をすすめた。