女王様のため息



思いがけず、照れて顔が赤くなってしまった昼食は、相模さんと向かい合わせという緊張感も手伝っておいしいのかおいしくないのか。

店長さんには申し訳ないけれど、味についてはよくわからなかった。

そして、機会があれば、司と一緒に仕切り直しに来たいなと思いながら終えた。

ごちそうしてくれた相模さんにお礼を言いながら会社へ戻っていると、私を伺うように見る相模さんと視線が合った。

「えっと……あの、何か?」

まともにぶつかった視線を逸らすこともできなくて、上ずった声になってしまった。

私の驚いた様子に、相模さんは口元を緩めると。

「食事の時に、言おうかどうか迷ったんだけど、司には内緒で言っておこうかな、やっぱり」

「司に内緒って、一体……」

「この間、真珠さんに話した事なんだけど、例の現場の件」

ゆっくりとした歩調で、私にゆっくりと話す相模さん。

その横顔を見ると、どこか楽しそうに目元が下がっていて、声も明るい。

悪い話ではなさそうだけど、現場の件だと聞いて一気に気持ちは落ち込んでしまう。

司がその仕事に携わる事を躊躇しているという、現場の話。

きっと司の成長には役に立つし、いい経験になるであろう現場に、私との結婚が控えている事を理由に返事を保留にしているらしい。

私の異動のせいで、その現場を引き受けるには距離的に遠い新居への引っ越しを考えている司は、『簡単に引き受けられない』と、言っている。

相模さんからその事を聞いてから、司と話をしたけれど、やっぱり結論は出なくて、引っ越しした後で無理だとわかっても迷惑をかけるから慎重に考えると言っていた。